数日前、急に声ががらがらに枯れてしまいました。
体は元気だしと調子に乗っていたら、だんだん体がだるくなってきて、仕事を終えて帰る頃には全身が痛くて体が重くて、結局翌日は1日寝込んでしまいました。
以前は風邪を引いても鼻だけで体は元気、放っておけば勝手に治るものでしたが、このところは治りが悪く、医者に行って薬をもらうも気休めでやはりずるずると続いてしまう。
そういう歳になったのかな~とも思うし、今からこんなでは先が思いやられるとも思う。
そんなわけで今日のお休みも行きたいお店を我慢して、家でゆっくり過ごしてました。
用事を済ませて、ちょっと料理に挑戦して、コーヒー片手に贅沢時間。
通勤時間や休憩の合間に読んでいて、今日一気に読みきりました。
彩瀬まる「骨を彩る」
5編からなる短編集、に見せた長編なのかも。
年月はバラバラだけど、少しずつ登場人物がリンクする構成。
読み終わって、本を閉じて、表紙をゆっくり眺めて心が温まる小説。
表面ではわからない、心の欠けた部分を、わからない、理解できない、目をそらしたいことを誰もが持っている。
最後の「やわらかい骨」
「否応なく骨へと染みた、色とりどりのものたち」
そんな煩わしいものを、理不尽な現実を受け入れながら、わたしたちは少しずつ大人になる。
ある時感じる心の違和感、噛み合わない感じってありますよね。その自分の中の「骨を蝕む黒い染み」に気づいた13歳の小春は、宗教を生活の一部とする転校生、周りの庇護を自分に与えられる当たり前として素直に受け取ってきたボーイフレンドと接する中で受け入れていく。
この小春の心の表現が好き。
そして、季節の移り変わりの描写がとてもきれいでした。
勢いで借りてきた彩瀬まる、どんどん落ちてゆく、恋に似た気持ち。
前回読んだくちなしは直木賞逃してしまいましたね、残念、、、。
めでたく選ばれた銀河鉄道の父も気になっていたのでますます読むのが楽しみになりました。
きれいなものを知ればきれいになれる、そんな風に思うことってないですか。
とても心がきれいな人がいて、この人はこの景色をどう思うだろう、この映画を見てなにを思うだろう、この曲を聞いてどう感じるだろう、、、。
そんな風に思う相手の口から出る全ての言葉が素晴らしく、尊く、聞いているわたしまでが美しいものになれたと錯覚できる。
好きなひとだからか、そう思うから好きになるのか、やっぱりそれって恋でしかありえないのか、、、。
わたしはそんな気持ちを、「きれいなもの」を小説の中に探しては自分を必死に取り繕っているのかもしれません。
他力本願かな。